【7月23日 AFP】全世界の富豪が国外の租税回避地(タックスヘイブン)に持つ資産は、米国と日本の国内総生産(GDP)を合わせた額に匹敵する21兆ドル(約1640兆円)に上るとする報告書が、22日に発表された。

 税の透明性確保を目指し租税回避地に反対している英組織「タックス・ジャスティス・ネットワーク(Tax Justice Network)」が、国際決済銀行(Bank of International SettlementsBIS)や国際通貨基金(IMF)などのさまざまな機関が発表したデータを基にまとめたもの。

 報告書を執筆したコンサルティング大手マッキンゼー(McKinsey)の元チーフエコノミスト、ジェームズ・ヘンリー(James Henry)氏によれば、21兆ドルという金額はあくまで低く見積もったもので、ケイマン諸島(Cayman Islands)やスイスなどの租税回避地に流れ込んだ資産は最大で32兆ドル(約2500兆円)に上る可能性もあるという。

 世界経済のボーダーレス化によってマネーが自由に動くようになったことに乗じて、プライベートバンクや法律、会計、投資の分野のスペシャリストたちがこれらの資産を守っており、そういった人たちは高額の報酬を受け取っているのだという。

 報告書によると、プライベートバンクの上位10行が2010年に扱った資産の総額は6兆ドル(約470兆円)で、5年前の2兆3000億ドル(約180兆円)から大幅に増加した。

 一方で、英政府顧問を務める税専門家ジョン・ホワイティング(John Whiting)氏は、「膨大な金額が隠されているのは間違いないが、もしそれほど巨額の資金があるとすれば、その金で何がされているのだろうか」と述べ、報告書の金額に疑問を呈した。(c)AFP