【7月12日 AFP】スペインのマリアノ・ラホイ(Mariano Rajoy)首相は11日の議会で、2014年末までに650億ユーロ(約6兆3000億円)の財政赤字削減を目指す一連の対策を発表した。

 付加価値税を引き上げずに歳出削減で対応するという姿勢を示していたラホイ首相だが、失業率が24.4%に達し、今年の経済成長率もマイナス2%近くになると見られているスペインは史上最悪の景気後退の最中にあると指摘し、「(一連の対策は)愉快な手段ではないが、必要なことだ」と述べた。

 欧州連合(EU)はスペインの巨額の公的債務を目標水準まで戻す期限を1年延長することを認める一方で、付加価値税の増税など厳しい対応を求めていた。発表を受けてスペインの10年物国債の利回りは10日の6.773%から6.504%に下がったが、依然として非常に高い水準にある。

 議会前では鉱業補助金削減に反対するデモ隊が警官隊に投石し、警察は警棒とゴム弾で対応した。

■ラホイ首相が11日発表した緊縮策の主な内容

・付加価値税の税率を18%から21%に、食品など一部商品の軽減税率を8%から10%に上げる。パンなど基本的必需品の特別税率は4%のまま変更せず。

・公営企業の統廃合や地方議員数の30%削減などで35億ユーロ(約3400億円)の歳出削減。

・失業給付の給付額を、給付開始後6か月が経過したら基本給の70%から50%に減額する。現在は6か月を過ぎると基本給の60%にされている。

・上級公務員のボーナスの削減。一部のボーナス支給額を減らし、クリスマスボーナスは廃止。

・環境関連の税を汚染者負担の原則に沿って変更する。たばこ税も増税の方向。

・新規住宅取得者を対象とした住宅ローン減税は2013年で廃止。

(c)AFP/Gabriel Rubio