【7月10日 AFP】米ワシントンD.C.(Washington D.C.)で、1970年代に当時のリチャード・ニクソン(Richard Nixon)米大統領を辞任に追い込んだ「ウォーターゲート事件(Watergate)」で知られるウォーターゲート・ビルの1室が、310万ドル(約2億4650万円)で売却された。米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)が9日、報じた。ウォーターゲート・ビル内物件の売却価格としては、これまでの最高額。 

 同紙によると、ポトマック川(Potomac River)に臨む345平方メートル、3ベッドルームのこの物件を購入したのは、IT起業家ジョン・リー(John Lee)氏。ワシントンD.C.郊外に持つ自宅を補完する目的で購入したという。

 ウォーターゲート事件は1972年6月、ウォーターゲート・ビル内の民主党全国委員会の本部に不審者が侵入し盗聴器が仕掛けられた事件に端を発した政治スキャンダル。当時の共和党ニクソン政権の事件への関与およびもみ消し工作が明らかになり、ニクソン大統領は米史上初の、任期中に辞任した大統領となった。

 一方、ウォーターゲート・ビルにとっては、政治スキャンダルの舞台との汚名をそそぐまで長い年月を要した。

 ウォーターゲート・ビルの物件を扱う不動産業者は、数十年前と比べて、いまではウォーターゲート事件に対する見方がより寛容になっているのではないかと、ワシントン・ポストに語った。

 不動産業者によれば、不況下にも関わらず、政府関連職に就く人々の流入などが追い風となって、近年のワシントンD.C.の不動産価格は比較的堅調だという。(c)AFP