【6月3日 AFP】カナダ東部ケベック(Quebec)州モントリオール(Montreal)市内で2日、学費の値上げ案をめぐる同州政府と学生の交渉が物別れに終わったことを受け、数千人が雨の中で抗議デモを行った。

 学生らは祖父母や両親などとともに、色とりどりの傘をさしながら平和的にデモ行進した。コスチューム姿で参加したり、トランペットなどの楽器を演奏し、なべを叩いたりする学生も大勢いた。

 急進派学生の最大派閥CLASSEは、この日午後までに1万人近くが行進に参加したと述べている。CLASSEは値上げ案が明らかになって以来、最大規模の抗議活動を展開するよう呼びかけていた。

 CLASSE指導者のガブリエル・ナドデュボア(Gabriel Nadeau-Dubois)氏はデモ開始に先立ち、記者団に対して「夏が近づいているが、われわれが依然モチベーションを保っていることを引き続き示す」と語った。

 過去数週間の抗議活動で衝突が発生したことを踏まえ、この日は混乱を未然に防ぐため警察によって厳重な警備体制が敷かれ、何十台もの警察車両も配置された。先月には抗議活動を抑制する非常事態関連法案の可決を受け、モントリオール市内とケベック(Quebec)市内で一晩のうちに約700人が逮捕された。

 1万5000カナダドル(約113万円)の学費ローンを完済したばかりだという女性(46)は、子どもたちが学費として多額の借り入れをする必要性をなくすために抗議デモに参加したと語り、「交渉が合意を見るまで日夜抗議する用意がある」とコメントした。またレインコートを着た男性(66)は、納税者の立場から「若者への投資は、社会に大きなリターンをもたらす投資のようなもの。政府が今していることは正反対だ」と不満をあらわにした。

 抗議活動に反対する人もおり、美容師の男性は、「ケベックの住民はどうかしてしまっている。私の子どもたちも学校に行かせているが、かかる費用は私が出している。使う者が払えばいいと思う」と語った。男性の美容院付近のバルコニーでは、住民がなべを叩きながらデモ隊を応援していた。

 同州政府は従来、1年あたりの学費を7年かけて1778カナダドル(約13万4000円)引き上げる案を提示していたものの、値上げ幅を削減して同1553カナダドル(約11万7000円)とした。しかし学生側は、こうした妥協案も受け入れない姿勢を示している。(c)AFP/Virginie Salmen

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