【5月30日 AFP】運転手を必要としない自律走行車の公道での試運転が、世界で初めてスペインで行われた。スウェーデンの自動車メーカー、ボルボ(Volvo)が発表した。

 この自律走行車は、英国のエンジニアリング・技術開発企業リカルドUK(Ricardo UK)などが参加する共同事業「SARTRESafe Road Trains for the Environment、環境のための安全なロードトレイン)」プロジェクトで開発された。欧州委員会(European Commission)もこのプロジェクトに資金を出している。

 試運転は先頭車両を複数の自動車が追従する「ロードトレイン」と呼ばれる方法で行われ、先頭にプロのドライバーが運転するトラックが走り、その後ろにトラック1台、乗用車3台、計4台のボルボ製自律走行車が続いた。

 ボルボによれば、この自律走行車4台にはカメラやレーダー、レーザーセンサーなどの安全システムが搭載されており、先頭車両や周囲を走る車の動きをモニターできる。

「車両は無線通信に加わり、リカルドの自律制御技術を使って先頭車両の動きをまねる。先頭車両と全く同じようにアクセルやブレーキ、右左折などを操作する」とボルボは説明している。

 ボルボ広報担当によれば、試運転はスペイン北東部バルセロナ(Barcelona)郊外の公道で5月22日に行われ、200キロの走行に成功したという。

 ボルボ・カー(Volvo Car)のプロジェクトマネジャー、リンダ・ワールストローム(Linda Wahlstrom)氏が自律走行車の1台に乗り込んだ様子が撮影された。運転席に座ったワールストローム氏に、システムは足や手をペダルやハンドルから離すようにという指示を出した。

■運転席で雑誌をめくる

 高速道路を時速85キロで走行する車の中で、ワールストローム氏は雑誌のページをめくっていた。「横を通り過ぎる車を見るのはとても愉快でした。私が車を運転せずに雑誌を読んでいることにすごく驚いていました」と語った。発表資料の中で同氏は、「この試運転でわれわれは非常に多くのことを学びました。自律走行はSFの話だと思われていますが、実はその技術はすでに存在しているのです」と述べている。

 ボルボによればロードトレインの試運転が一般車両も走行する公道で行われたのは今回が世界で初めて。試運転は「大成功だった」とボルボは述べている。

 またロードトレインでは車両間隔が狭まることによりスリップストリーム(空気抵抗が少ない領域)が発生し、最大で20%の燃費向上が可能だという。

 SARTREプロジェクトにはリカルドUKのほか、ボルボ、スペインのエンジニアリング会社イディアダ(IDIADA)とテクナリア・リサーチ・アンド・イノベーション(Tecnalia Research & Innovation)、ドイツのアーヘン工科大学車両研究所(Institut für Kraftfahrzeuge Aachen)、そしてスウェーデンのSP技術研究所(SP Technical Research Institute of Sweden)も参画している。(c)AFP

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