【5月28日 AFP】ビスケットの缶から灰皿に至るまで、英国の土産物店では棚という棚からエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の顔がこちらを見つめている。即位60周年の祝賀ムードが最高潮に達する中、土産品市場においても英王室は最大の影響力を発揮している。

■高級車にセクシー下着まで、ロイヤル・ウエディング上回る熱狂

 小売業界は記念日にあやかろうとフル回転だ。俗っぽい安物もあれば、高価な「お宝」もある。英高級車メーカーのベントレー(Bentley)はフラッグシップモデル「ミュルザンヌ(Mulsanne)」の即位60周年記念モデルを60台限定で発売すると発表した。ロンドン(London)のあるデパートでは女王の愛する犬種コーギーが描かれたシルクのスカーフが100ポンド(約1万2500円)で売られ、かと思えば同じ通りの土産物店には非公式の安っぽい記念食器が並ぶ。

 記念セクシー下着や犬用Tシャツがインターネットの通販サイトで展開される一方、共和主義の喫煙者が女王のご尊顔にたばこを押し付けることができる灰皿などという、あからさまに非公式なグッズも登場した。

 英国王立所蔵品協会の「ロイヤル・コレクション(Royal Collection)」小売部門の責任者によれば、公式記念グッズとしてこれまでにティータオル3万枚、タンカード(大型ジョッキ)1万5000個、薬入れ1万4000個などを売り上げており、前年の英国のウィリアム王子(Prince William)とキャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge)のロイヤルウエディングより売れ行きは好調という。

■人気いまいち?長期在位の落とし穴

 だが、英国土産の定番であるティーポット(250ポンド、約3万円)や、アフタヌーンティー用のケーキスタンド(395ポンド、約5万円)といった高価格帯の品揃えは、必ずしもコレクターの心をつかんではいないようだ。

 王室記念品を専門に扱う競売会社リーマン・ダンジー(Reeman Dansie)関係者によれば、在位期間の長いエリザベス女王の記念品は既に大量に出回っていて、コレクターアイテムとしての魅力は薄れてしまったとみられる。また、王室記念品のコレクター数自体も30~40年前に比べて減っており、女王より故ダイアナ妃(Princess Diana)の記念品のほうが収集価値が高いという。

 英調査機関センター・フォー・リテール・リサーチ(Centre for Retail Research)の試算によれば、この夏に女王の即位60周年とロンドン五輪の土産品購入で見込まれる消費は3億700万ポンド(約383億円)に上る。

 しかし、ロンドンのショッピング街、オックスフォード・ストリート(Oxford Street)で主に外国製の安価な非公式グッズを扱う露店では、即位60周年記念品の人気は低い。店主の1人はAFPの取材に、意気消沈した様子で「1つも売れないよ」と語った。(c)AFP/Katy Lee

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