【5月18日 AFP】ヨーロッパの王族に400年以上にわたって受け継つがれてきた約35カラットのダイヤモンド「ボーサンシー(Beau Sancy)」が15日、スイス・ジュネーブ(Geneva)で競売大手サザビーズ(Sotheby's)の競売に掛けられ、904万2500スイスフラン(約7億7000万円、手数料含む)で落札された。

 プロイセン王家が売りに出したこの洋ナシ型のローズカットダイヤを手に入れようと北米、欧州、アジアの5人が激しく競り合った。電話で参加した1人が予想落札価格200万~400万ドル(約1億6000万~3億2000万円)の2倍以上で競り落とした。

 サザビーズはこのダイヤを「今まで競売に掛けられた中で最も魅惑的でロマンチックな宝石」と説明した。サザビーズ・ヨーロッパのフィリップ・ヘルツォク・フォン・ビュルテンベルク(Philipp Herzog von Wuerttemberg)会長は競売終了後、「あなたが購入するのは単なるダイヤではなく、歴史的芸術品なのです」と語った。

■400年以上王族に受け継がれる

 ボーサンシーを初めて購入した王族は、フランス国王のアンリ4世(Henry IV)。マリー・ド・メディシス(Marie de Medici)王妃にせがまれて1604年に購入し、1610年の戴冠式では王妃の冠にも使用された。

 ボーサンシーは17世紀半ばにオランダに渡り、オラニエ公ウィレム2世(Willem II of Orange Nassau)とイングランド王チャールズ1世(Charles I of England)の娘メアリー・スチュアート(Mary Stuart)の結婚の際に使われた。メアリー・スチュアートは後に、王位を狙う兄のチャールズ2世(Charles II)への支援金を工面するためにこのダイヤを手放した。

 その後1702年に初代プロイセン王がその王冠の最高の位置にボーサンシーを付けて以来、このダイヤはプロイセン王家で代々受け継がれてきた。(c)AFP

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