【3月31日 AFP】カナダ政府は29日、1セント硬貨の流通停止を発表した。 硬貨の製造コストが硬貨の価値を上回るためだという。

 カナダのジェームズ・フレアティ(James Flaherty)財務相は、「1セント硬貨は自宅の引き出しで無駄に場所を取っている。成長と雇用の創造を目指す小規模ビジネスにおいては時間のロスで、納税者は1セント硬貨を製造するために1.5セントを支払っている」と指摘し「故に、製造を停止する」と述べた。

 カナダ造幣局は2012年後半に1セント硬貨の流通を停止する予定。

 1908年に導入された同硬貨は今後も永久にその価値を保持し、支払いにも使用できる。だが、流通停止へ向け、現金払いでは金額の末尾を5セント単位にすることが求められるようになる。
 
 同国マニトバ(Manitoba)州ウィニペグ(Winnipeg)の造幣工場では過去5年間、毎年1100万カナダドル(約9億1000万円)をかけ7000トンの1セント硬貨を鋳造して全国に流通させてきた。

 同硬貨は自動販売機では使用できず、購入代金の支払いには1回25枚までしか使えないという法律があることから、カナダ上院議会は2010年、1セント硬貨を廃止するよう政府に求めていた。これを受け、当時多くの人々が1セント硬貨を手放したり破棄したりした。国民の多くは1セントを貯金したり、募金するなどしてあまり財布に残さないようにしている。

 フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、イスラエル、オランダ、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、スペイン、南アフリカ、スイス、ブラジル各国は1単位の硬貨を廃止している。

 また、オーストラリアとニュージーランドは1セントと2セントの硬貨の流通を停止。ニュージーランドは5セント硬貨についても流通を停止させている。(c)AFP