【3月22日 AFP】財務省が22日発表した2月の貿易統計で、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は329億円の黒字となった。市場の予想を裏切る5か月ぶりの黒字転換の背景には、自動車業界が復調しつつあることや米経済に回復の兆しが見られることなどがある。

 東日本大震災の影響で多くの原子力発電所が運転を停止し、発電用燃料の輸入が増加したことなどから、1月の貿易収支は1兆4800億円の巨額赤字となっていた。黒字転換で景気低迷に苦しむ経済界には希望の光がもたらされた格好だが、黒字額は前年同期(約6370億円)には遠く及ばず、原油価格の上昇が見込まれるため先行きは不透明だと専門家は警告している。

 ニッセイ基礎研究所(NLI Research Institute)の経済調査部門主任研究員、斎藤太郎(Taro Saito)氏は、黒字について意外な結果だとコメント。輸出の減少幅がここまで抑えられるとは予想されていなかったと述べ、予想外のスピードで回復する米経済を最大の要因の1つに挙げた。ただし、3月の貿易収支は赤字に戻ると予想している。

 みずほ総合研究所(Mizuho Research Institute)のシニアエコノミスト、山本康雄(Yasuo Yamamoto)氏もまた、3月の貿易収支は原油価格の上昇により再び赤字転換する恐れがあると見ている。(c)AFP/Harumi Ozawa