【2月13日 AFP】フランス革命時代のコニャックなど、総額800万ドル(約6億2000万円)に上るとみられる希少な酒類5000本余りのコレクションが10日、売りに出された。

 コレクションの持ち主は、オランダ・ブレダ(Breda)で出版業を営むベイ・ファンデルブント(Bay van der Bunt)さん(63)。代理人のバート・ラミン(Bart Laming)氏によれば「世界最大の古酒コレクション」だという。

 ファンデルブントさんは祖父の代から続くこのコレクションを父親を経由して受け継ぎ、自宅の貯蔵庫に保管していた。自身も35年間にわたってコレクションを増やしてきたが、譲り渡す子どもはいない。妻が65歳の定年を迎えたらコレクションを売り払うと約束しており、今回、その約束を果たすことになったのだという。

 コレクションの中には、高級コニャック「ブルジュロール(Brugerolle)」の1795年物6リットルボトルもある。フランス革命の際、ある革命軍司令官が発注したとのいわく付きで、「ナポレオン軍が遠征に携行したうち現存する最後の1本」(ラミン氏)だという。ファンデルブントさんはこの1本を1990年、競売大手クリスティーズ(Christie's)がシカゴ(Chicago)で開いたオークションで落札した。

 このブルジュロール1本だけでも、希望買取価格は13万8000ユーロ(約1400万円)と高価だが、ファンデルブントさんはコレクションの大半を一括で売却することを希望している。既に、中国やロシアのバイヤーが関心を示しているという。

 だが、コレクション中で最古の1760年物コニャックだけは売らない方針だ。「ファンデルブント家の家宝」として大切にするという。ちなみに、ファンデルブントさん自身は酒はたしなまないそうだ。(c)AFP