【11月30日 AFP】第42回東京モーターショー2011(Tokyo Motor Show)は30日、12月3~11日の一般公開を前に、報道機関に公開された。今回はロボット化やコンピューター化がかつてない水準に進んだ車が出展され、最先端のグリーンテクノロジーを使った数々の省エネ電気自動車が市場の関心をひこうとしのぎを削っている。

 会場にはボディの形が変わったり、スマートフォンとリンクするコンピューターを搭載したコンセプトカーや、電気自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド車といった省エネカーが並ぶ。東日本大震災と世界的な不況からの回復を目指す日本の自動車メーカー各社が低迷する国内販売の起爆剤として期待をかける低燃費小型車もある。

■震災やタイ洪水からの回復力を示す

 国内自動車メーカー第2位、日産自動車(Nissan Motor)のカルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)社長は「2011年は前例のない挑戦の年だった。3月の地震と津波、競争力を大幅に低下させた円高、(日系自動車メーカーの工場を操業停止に追い込んだ)タイの洪水」と前置きし、今年の東京モーターショーは、過去のどの年よりも、日本と日本人の回復力と逆境をはね返す力を示すだろうと語った。日産は今回、スマートフォンで遠隔操作ができる「Pivo 3(ピボ3)」をはじめ、電気自動車のコンセプトカー数車種を出展する。
 
 ライバルのホンダ(Honda Motor)は電動スポーツバイクや電動スポーツカー「EV-Ster(イーブイ スター)」を出展している。伊東孝紳(Takanobu Ito)ホンダ社長は、同社の各工場に巨大な太陽電池パネルを導入し、工場の操業からできあがる製品までホンダの事業すべてを二酸化炭素(CO2)フリーにすることを計画しており、環境に負荷をかけない未来の社会づくりを目指していると述べた。

 国内最大手トヨタ自動車(Toyota Motor)も小型ハイブリッド車「AQUA(アクア)」や最先端の燃料自動車などコンセプトカー数車種を出展し、環境負荷低減の実績に磨きをかけようとしている。日本国外で「プリウスC(Prius C)」の車名で販売される予定のアクアは、これまでのプリウスがガソリン1リットル当たり32.6キロの走行距離だったのに対し、ガソリン1リットルあたり35キロと世界最高の燃費性能を達成したとうたっている。12月に国内で5シーターモデルを発売し、その後順次外国でも発売する予定だ。

■外国メーカー、異業種の出展も

 今回の東京モーターショーには十数か国から179社が出展し、前回(2009年)は出展を見合わせた外国の大手メーカーも戻ってきた。ドイツのフォルクスワーゲン(VolkswagenVW)、BMW、メルセデスベンツ(Mercedes-Benz)、ポルシェ(Porsche)や、フランスのルノー(Renault)やプジョー・シトロエン(Peugeot Citroen)、英ジャガー・ランドローバー(Jaguar Land Rover)などだ。会場は前回の2倍の広さだ。

 自動車業界の専門家であるミズノ・クレジット・アドバイザリー(Mizuno Credit Advisory)の水野辰哉(Tatsuya Mizuno)代表は、電気自動車やハイブリッドカーといった環境保全技術に関心をもつ欧州の自動車メーカーにとって日本市場は依然、重要だと語っている。

 異業種のメーカーも出展している。そのひとつは電機光学機器メーカーの興和(Kowa)とロボットメーカーのテムザック(Tmsuk)による合弁会社、興和テムザック(Kowa Tmsuk)で、スマートフォンを使った遠隔操作で形を変える「トランスフォーム・ボディ」を特徴とする電動コンセプトカー「KOBOT」を出展する。(c)AFP/Harumi Ozawa