【11月16日 AFP】カナダ政府は15日、高速鉄道の導入は納税者や航空会社に大きな犠牲を強いることになるが、通勤時間の短縮や二酸化炭素の排出削減をもたらすかもしれないとの調査結果を発表した。

 政府はケベック(Quebec)州ケベック市(Quebec City)とオンタリオ(Ontario)州ウィンザー(Windsor)を結ぶ総延長1300キロの高速鉄道建設計画について、可能性調査を行った。路線上には首都オタワ(Ottawa)と2大都市トロント(Toronto)、モントリオール(Montreal)も位置する。

 調査は「高速鉄道は技術的には可能だが、多大な公共支出が必要となる」と結論づけている。また、すべての運営費はまかなえるが、最大213億カナダドル(約1兆6000億円)にも上る開発費の回収は不可能との見方を示した。さらに、計画から建設(環境アセスメントその他調査や土地取得を含む)まで14年近くかかることを考えると、計画推進には「強い政治的意志」が必要だと指摘している。

 今回の可能性調査はコンサルタント会社5社が、1995年に行われた類似プロジェクトに対する調査を基に実施した。1995年の調査では、費用がかかりすぎるとして可能性は否定されている。

 一方、モントリオール、オタワ、トロントを結ぶ区間のみの建設であれば費用は半分で済み、経済的効果も期待できるという。

 高速鉄道が時速300キロで走るとすると、オタワ・モントリオール間は現在2時間かかるところが1時間に短縮され、航空機との差はわずか15分となる。1日数便の航空機が1時間で結ぶオタワ・トロント間は、鉄道では現在の4時間半から1時間半に短縮される。(c)AFP