【11月11日 AFP】米格付け大手スタンダード&プアーズ(S&P)が10日、フランス国債の格付けを引き下げたとする文書を一部顧客に誤って配信した。

 市場で仏国債の格下げ懸念が投資家の間に広がっていた矢先の出来事とあって、フランソワ・バロワン(Francois Baroin)仏予算相は、ただちに仏金融市場庁(AMF)と欧州証券市場監督局(ESMA)に調査を要求。AMFは同日、調査を開始したと発表した。

 フランス国債の格付けは現在、最上位のトリプルAだが、S&Pが声明で発表した説明によると「技術的なミス」のため、同社の「グローバル・クレジット・ポータル(Global Credit Portal)契約者の一部に、仏国債が格下げされたと受け取られかねない情報が自働配信された」という。

 S&Pは、「仏国債の格付けは当面『AAA/A-1+』に据え置かれる見通しで、今回の誤配信は実際の格付け調査活動とは無関係だ」として、誤配信が起きた経緯を調査中だと釈明した。

 10日の欧州市場では、フランス10年物国債とドイツ連邦債の利回りとの差が最高値を更新。ドイツを除いたユーロ圏諸国に対する市場の信用低下が浮き彫りになった。専門家らは、フランスの財政状況について市場は既に格付けより悪いと認識していると指摘する。

 緊縮財政政策を進める仏サルコジ政権は、同国の財政状態は堅調で2016年までには赤字財政から脱出すると言明している。しかし、格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody's Investors Service)は前月、フランスの財政状況が悪化しており「トリプルA」諸国中最も脆弱(ぜいじゃく)だと警告していた。(c)AFP