【11月10日 AFP】国際エネルギー機関(International Energy AgencyIEA)は9日発表した「世界エネルギー見通し(World Energy Outlook)」で、新興国を中心としたエネルギー需要増加への対応や、地球温暖化対策、環境負荷の回避のため、原子力は今後も不可欠なエネルギー源だとの見解を示した。

 IEAは、福島第1原子力発電所の事故を背景に、ドイツやベルギーなどが脱原発を推し進めれば、世界全体の原子力発電能力は2035年までに15%減少する可能性があると指摘した。

 エネルギー需要が増加する中で原子力発電からの脱却が進めば、石炭やガスの利用が拡大し、その結果、二酸化炭素(CO2)の排出量が増えて環境に大きな悪影響が及ぶとみられる。

 IEAは、さらに、原子力以外のエネルギー源の価格が大幅に上昇すると予測。中国などの新興国の需要をけん引役に、世界の石油需要は35年までに14%拡大し、原油価格は1バレル当たり120ドルに達する可能性があると分析した。(c)AFP