【11月7日 AFP】イスラエルで7日、公共部門で働く契約労働者数十万人の待遇に抗議し、病院や銀行、国際空港などを巻き込んだゼネストが行われた。

 イスラエルの有力労組「イスラエル労働総同盟(ヒスタドルト、Histadrut)」とイスラエル財務省との交渉が決裂したことを受け、前日夜から議論を続けていたイスラエルの労働裁判所が、ストの時間を4時間にすることなどの制限を付けて午前6時(日本時間午後1時)からストライキを実施することを許可した。

 労働裁判所はストライキの時間を制限しても交渉による解決に向けた対話を促進するには十分だと発表した。一方、ヒスタドルトのOfer Eini議長は労働裁判所の判断は全面的に尊重するが、双方の力関係が均衡した形のストライキでなければ、交渉も公平にならないと指摘した。

 午前8時(日本時間午後3時)にはベングリオン国際空港(Ben Gurion International Airport)でもストライキが始まることになったため、多くの便が発着時間を繰り上げた。スト時間中は政府機関や港湾施設、テルアビブ(Tel Aviv)証券取引所などが閉鎖され、イスラエル全土でバスや列車なども大半が運行を休止した。電力などの公共サービスや病院は通常の休日と同じ体制で要員を配置した。

 当初このストは無期限で実施される予定だった。ヒスタドルトの広報担当者はスト前日の6日、「この無期限ストライキは、公共部門や一部の民間企業で働く数万人の労働者の『2級』扱いに抗議するために行われる。同じ社会的権利を得られず、低賃金な労働者の利用がまん延している。これを阻止しなければならない」と語っていた。

 労働協約で保護された正規職員と比べて権利や保護が少ない契約労働者を、正規職員として雇用するよう政府に要求しているヒスタドルトと、ユバル・シュタイニッツ(Yuval Steinitz)財務相との交渉は雇用する人数の点で暗礁に乗り上げていた。

 またヒスタドルトは政府が契約労働者を大幅に増やしていることを批判するとともに、契約労働者と正規職員との待遇格差是正を求めているが、政府は契約労働者の最低賃金の引き上げと権利向上については交渉できるものの、イスラエル経済を危険にさらすような対策はとらないとの立場を示していた。(c)AFP