巨大自由貿易圏構築めざすTPP、日本も今週参加表明か
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【11月7日 AFP】環太平洋経済連携協定(TPP、Trans-Pacific Partnership)は当初、シンガポール、ブルネイ、ニュージーランド、チリの4か国による自由貿易協定(FTA)として、静かに始まった。いまや米国から南米、中国をも巻き込んだ巨大自由貿易圏となる勢いを見せている。
TPPが表舞台に登場する転機となったのは2008年、米国が参加を表明し、同盟数か国にも加盟を要請したことだ。現在、交渉参加国は9か国に拡大。創設時の4か国に加え米、豪、マレーシア、ベトナム、ペルーが交渉のテーブルにつく。
米ハワイ・ホノルル(Honolulu)で12、13日開かれるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議では、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領らAPEC首脳が、TPPの枠組みを拡大した広域構想を協議する予定だ。だが、各国政府関係者や経済評論家は、最終合意に向けて詳細を詰めるため、さらなる協議が重ねられるとみる。
■参加は自由、ただし条件受け入れ迫る
現在のTPP構想は、創設メンバーをグループの核としつつ、加盟への門戸は開放し、参加希望国は既存メンバーと同条件を受け入れれば、いつでも加盟できるというものだ。
以前にもAPEC全域を網羅する自由貿易圏を目指した試みはあったが、加盟国・地域が21と多く、交渉は頓挫した。TPPの目的も同じ広域自由貿易圏だが、参加希望国には条件の受け入れを求め、嫌なら参加させないとのより斬新的な態度で臨んでいる。これには、不参加は不利になると感じる国々の参加を促す狙いがある。
交渉を主導する立場となった米国は、TPPの質を保証するため、加盟国・地域内のビジネス・貿易上の障壁を取り除くという誓約は、しっかりとした、広範囲にわたる内容になるだろうと説明してきた。
■条件、WTO基準より踏み込んだ内容に?
このような環太平洋自由貿易圏が誕生すれば、世界貿易機関(World Trade Organisation、WTO)のドーハ・ラウンド(Doha Round)交渉が暗礁に乗り上げたままな現在、その影響は甚大だ。シンガポールに拠点を置くシンクタンク、太平洋経済協力会議(Pacific Economic Cooperation Council、PECC)の試算によると、環太平洋諸国・地域の2010年の経済規模は35兆ドル(約2700兆円)に上り、世界全体の半分を占める。
シンガポール国際問題研究所(Singapore Institute of International Affairs)のサイモン・テイ(Simon Tay)所長によると、現時点でのTPP交渉参加9か国は、単なる関税撤廃を超えた協議を進めているとみられ、既存のWTO基準より踏み込んだ内容となる可能性もあるという。
■野田首相、今週半ばにも参加表明か
こうした中、読売新聞(Yomiuri Shimbun)によると、野田佳彦(Yoshihiko Noda)首相は10日、ハワイでのAPEC首脳会議を前に日本のTPP交渉参加を表明する見込みだ。中国、韓国、フィリピンも交渉の成り行きを注視している。(c)AFP
【関連記事】
◆APEC自由貿易圏への足がかり、9か国が合意目指すTPP
◆日本国内でTPP議論沸騰、参加は是か非か
TPPが表舞台に登場する転機となったのは2008年、米国が参加を表明し、同盟数か国にも加盟を要請したことだ。現在、交渉参加国は9か国に拡大。創設時の4か国に加え米、豪、マレーシア、ベトナム、ペルーが交渉のテーブルにつく。
米ハワイ・ホノルル(Honolulu)で12、13日開かれるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議では、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領らAPEC首脳が、TPPの枠組みを拡大した広域構想を協議する予定だ。だが、各国政府関係者や経済評論家は、最終合意に向けて詳細を詰めるため、さらなる協議が重ねられるとみる。
■参加は自由、ただし条件受け入れ迫る
現在のTPP構想は、創設メンバーをグループの核としつつ、加盟への門戸は開放し、参加希望国は既存メンバーと同条件を受け入れれば、いつでも加盟できるというものだ。
以前にもAPEC全域を網羅する自由貿易圏を目指した試みはあったが、加盟国・地域が21と多く、交渉は頓挫した。TPPの目的も同じ広域自由貿易圏だが、参加希望国には条件の受け入れを求め、嫌なら参加させないとのより斬新的な態度で臨んでいる。これには、不参加は不利になると感じる国々の参加を促す狙いがある。
交渉を主導する立場となった米国は、TPPの質を保証するため、加盟国・地域内のビジネス・貿易上の障壁を取り除くという誓約は、しっかりとした、広範囲にわたる内容になるだろうと説明してきた。
■条件、WTO基準より踏み込んだ内容に?
このような環太平洋自由貿易圏が誕生すれば、世界貿易機関(World Trade Organisation、WTO)のドーハ・ラウンド(Doha Round)交渉が暗礁に乗り上げたままな現在、その影響は甚大だ。シンガポールに拠点を置くシンクタンク、太平洋経済協力会議(Pacific Economic Cooperation Council、PECC)の試算によると、環太平洋諸国・地域の2010年の経済規模は35兆ドル(約2700兆円)に上り、世界全体の半分を占める。
シンガポール国際問題研究所(Singapore Institute of International Affairs)のサイモン・テイ(Simon Tay)所長によると、現時点でのTPP交渉参加9か国は、単なる関税撤廃を超えた協議を進めているとみられ、既存のWTO基準より踏み込んだ内容となる可能性もあるという。
■野田首相、今週半ばにも参加表明か
こうした中、読売新聞(Yomiuri Shimbun)によると、野田佳彦(Yoshihiko Noda)首相は10日、ハワイでのAPEC首脳会議を前に日本のTPP交渉参加を表明する見込みだ。中国、韓国、フィリピンも交渉の成り行きを注視している。(c)AFP
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