【10月31日 AFP】チェコはこのほど、エネルギー安全保障の強化を掲げ、中欧における原子力発電の拠点となることを目指す方針を示した。福島の原発事故を受けて欧州で脱原発の動きが広がり、環境活動家などが原発への懸念を表明する中、冷静な対応といえる。

 半官半民の同国電力大手CEZDaniel Benes会長兼最高経営責任者(CEO)は、「原子力開発は基本的な優先事項だ。原子力を失えば、ロシアの供給するガス次第になってしまう。他に道はない。再生可能エネルギーでは需要をまかなえない」と述べた。

 CEZは欧州第2の電力輸出企業で、原発事業者としては欧州最大。国内2か所の原発で総電力の3分の1を発電している。2050年までにはさらに2基を南西部テメリン(Temelin)に新設し、原子力の国内電力シェアを50%まで増やす見通しだ。新設される2基をめぐっては、仏原子力大手アレバ(Areva)、露アトムストロイエクスポルト(Atomstroiexport)、米ウェスチングハウス・エレクトリック(Westinghouse ElectricWH)の3社が受注を競っている。

 チェコ産業省がまとめた年内に政府に提出予定の最新エネルギー計画(暫定版)によれば、2060年までに国内電力の80%を原子力でまかなう方針。産業省報道官は「二酸化炭素排出を2050年までに80%削減することや、電気自動車(EV)の発展ぶりを考慮すると、原発分野の強化なしには難しい」と説明している。(c)AFP/Jan Marchal