【10月31日 AFP】タイの大規模な洪水により、世界のパソコンメーカーへのHDD(ハードディスク駆動装置)供給に混乱が生じていると、メーカーや市場調査会社などが明らかにした。タイのHDD輸出量は中国に次ぐ世界2位で、世界のHDDのおよそ40%がタイで生産されている。

 IT調査企業IDCのHDDリサーチ部門副社長、ジョン・ライドニング(John Rydning)氏は28日、AFPの取材に対し、現在タイでは、世界のHDD生産のおよそ25%を担う工場が洪水の影響を受けていると話し、「HDDの購買客には今四半期と来四半期に間違いなく影響が出る。HDD業界の復活には数か月かかるだろう」との見通しを示した。

 一方で同氏は、タイ国内のHDD製造拠点のすべてが洪水の影響を受けたわけではないと述べ、影響は「洪水時期前の在庫により、ある程度は緩和される」と述べ、「一部の大手顧客の要求に対してはこれらの在庫でまかなうことができる。だが、在庫は11月中にすべてなくなるだろう」と語った。

 またライドニング氏は、タイの洪水被害について、東日本大震災に続いてHDD業界に打撃を与えたことし2度目の大規模自然災害だったと述べた一方で、「HDD業界は非常に弾力性がある。第3四半期は好調だった。需要を満たすことができたという意味だけでなく、在庫も東日本大震災前のレベルにまで回復していた」と指摘した。

 PCメーカーへの影響については、大手メーカーは在庫へのアクセスが可能で交渉の余地もあるため、小規模メーカーの方がより影響を受けるだろうと、ライドニング氏は述べる。

 また、洪水の影響を最も受けたHDDメーカーは、洪水被害を受けた地域に工場があった米ウェスタン・デジタル(Western Digital)と東芝(Toshiba)の2社だった。

 ライドニング氏によると、HDD部品メーカー10数社も、浸水した地域に工場を持っていたために影響を受けた。だが、これら部品メーカーはタイだけでなく、中国やフィリピン、マレーシアにも工場を持っているため、タイ以外の国の工場での増産など、迅速な対応が見込めるという。(c)AFP/Nicolas Asfouri

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