【10月11日 AFP】東南アジアのバナナプランテーションで立ち枯れ病が流行しており、フィリピンのバナナ業界団体は10日、政府が治療策を発見しなければ3年以内にフィリピンのバナナ産業が壊滅すると警告した。

 立ち枯れ病は、作物に急速に広がるカビにより発生する。フィリピン・バナナ栽培輸出業協会(Pilipino Banana Growers and Exporters Association)のスティーブン・アンティグ(Stephen Antig)代表は「これまでに地元の1200ヘクタールのバナナプランテーションに感染が広がった。感染はさらに拡大する可能性がある」と、AFPの取材に語った。「仮に封じ込めることができず、検査が行われない状況が続けば、3年以内にバナナ産業は壊滅する」

 フィリピンはエクアドルに続く世界第2のバナナ輸出国。プランテーションは7万ヘクタールに及ぶ。バナナ業界はフィリピンの輸出産業で5番目に規模が大きく、28万人を直接雇用しているという。世界で最も人気のキャベンディッシュ種のバナナを輸出している。

 アンティグ氏によると、中央アメリカとカリブ海で1960年代、立ち枯れ病により当時人気だったグロスミッチェル種が壊滅したことがある。また、1990年代にはインドネシアとマレーシアのキャベンディッシュ種のプランテーションが立ち枯れ病により壊滅した。

 立ち枯れ病のカビは、フィリピンで5年前に発見された。当時はまだ管理可能なレベルにあったという。だが前月、より伝染力の強いタイプのカビが発生し、同国の輸出バナナの大半が栽培されているミンダナオ(Mindanao)島南部で急速に拡大した。

 アンティグ氏は政府に対し、立ち枯れ病に耐性のあるバナナを開発するための研究機関を迅速に設立するべきだと要請している。(c)AFP