【10月8日 AFP】スイスの食品大手ネスレ(Nestle)のピーター・ブラベック・レッツマット(Peter Brabeck-Letmathe)会長兼CEOは7日、オーストリアの新聞のインタビューで、現在の食品価格高騰は2008年に世界各地で食糧暴動が起きたときと似た状況を作り出していると警告した。

 同氏は現地紙ザルツブルガー・ナーハリヒテン(Salzburger Nachrichten)に対し「現況は(08年に)似ている。食品価格は以前と比べて極めて高い水準に達しており、この水準で推移すると考えられる。ここ(欧州)で食費は収入の8%ほどかもしれないが、収入の80%が食費に消えてしまう発展途国に住んでいるとしたら、ずっと大きな痛みを感じるだろう」と述べた。

 2008年には穀物価格が歴史的な高水準に達して食糧危機が発生し、アフリカ諸国をはじめ、ハイチやフィリピンでも暴動が起きた。

 9月に発表された国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganizationFAO)の食料価格指数(FAO Food Price IndexFFPI)は225となり、史上最高を記録した今年2月の237.7ポイントは下回ったものの、2008年6月につけたピークを上回った。

 今年に入ってからの食糧価格高騰は、北アフリカ・中東諸国で起きた暴動「アラブの春」の一因になったと見なされており、別の地域での暴動につながる恐れもあると懸念されている。
 
 食糧価格高騰の原因としては、投機的な取引、気候変動、人口増加、インドや中国といった国々での食習慣の変化などが指摘されているが、最も大きく注目されているのは、世界的に中流階級が増加していることによる肉消費の増加だ。

 ラベック・レッツマット氏はさらに、人類は「持続可能な範囲を超える量の水を使っている」と語り、企業や消費者に水の無駄使いを抑えさせるために水道料金を値上げすべきだと主張した。(c)AFP