【9月12日 AFP】アルゼンチンの大豆、チリの銅、ブラジルの鉄鉱石――中南米の資源に対する中国の購買意欲はとどまるところを知らず、双方の経済が急成長する原動力となってきた。

 中国は、世界の中でも特に中南米諸国との2国間貿易を拡大させており、その規模はこの10年間でなんと18倍にも伸びた。

 ただ、その大半は中南米の資源輸出が占める。専門家らは、中南米諸国にとって、ますます緊密化する中国との経済関係は利益をもたらすばかりではなく、工業輸出大国を目指す地域の足かせになりかねないと警告する。

■資源限定の対中依存、国内産業空洞化も

 懸念の理由の1つは、中国がかたくなに原材料しか買わず、高付加価値製品の輸入を避けている点にある。

 対中輸出への過度の依存をリスク要因として警戒する声もある。野村グループの最近のレポートは、「喧伝されているブラジルの『新中間所得層』とは、われわれの考えでは中国の商品需要の直接的な結果だ」と分析。中南米経済が専門の別のエコノミストも、高付加価値製品の輸出先として中国は有望な市場としてより、激しい競争相手国とみなすべきだと話す。

 専門家らの間にはまた、対中輸出を支える中南米の豊富な資源が、2015年ごろには枯渇し始める可能性があるとの指摘もある。

 中南米でも、企業が製造部門を中国に移すという過ちが起きている。ブラジルの製造業が国民総生産(GNP)に占める割合は、この数年間で3%減少した。コロンビアなど他の中南米諸国でも2%減少している。

 中国は2010年、米国を抜いて中南米の最大の貿易相手国となった。さらに投資面でも存在感を高めつつあるなか、中南米経済における中国の勢いを、米国も警戒感をもって注視している。(c)AFP/Jordi Zamora