【8月2日 AFP】2050年のアジアは、欧州と同じように豊かになっている可能性がある。ただし、格差や汚職、気候変動などの問題を解決することが必要――このような内容の報告書をアジア開発銀行(Asian Development BankADB)が2日、発表した。

 ADBは報告書『Asia 2050: Realizing the Asian Century(アジア2050:アジアの世紀を実現するために)』の中で「アジアは、歴史的な変革のさなかにある」と指摘し、現状の傾向から推測すると、2050年までに世界の経済生産高の半分をアジア地域が占め、現在の欧州と同水準の収入がある人がアジアで30億人増えると予測している。

 また、繁栄に向かう数十年の道のりを牽引するのはアジアの7大経済大国、中国、インド、インドネシア、日本、韓国、タイ、マレーシアだとしている。

■多くの人にとって公平な成長を

 最も楽観的なシナリオでは、貧困国ラオスやパキスタンを含めたアジア全域のGDPは2010年の17兆ドル(約1300兆円)から、2050年には174兆円(約1京3500兆円)に、1人当たりのGDPも4万800ドル(約316万円)へと大幅に増加すると予測した。

 報告書は、アジアの経済成長が持続可能なものになるためには、経済成長に成功した日本、韓国、シンガポールに他のアジア諸国も倣って、多くの人にとって公平な経済成長に務める必要があり、各国は貧困の撲滅や機会均等の確保に取り組むとともに、教育、起業、イノベーション、技術開発に集中すべきだと指摘している。

■自然災害などの不安要因も

 その一方で報告書は、不適切なマクロ経済政策、不十分な規制・監督による金融部門の不安定化、紛争、気候変動、自然災害、人口構造の変化、貧弱なガバナンスなどによって、アジアが「パーフェクト・ストーム(最悪の嵐)」に直面するという最悪のシナリオも示した。(c)AFP/Frank Zeller