【6月8日 AFP】ドイツを中心に腸管出血性大腸菌(EHEC)の感染が拡大している問題で、欧州委員会(European Commission)は7日、ルクセンブルクで緊急会合を開き、ロシアなどの輸入禁止措置や買い控えなどで損害を被った野菜農家に計1億5000万ユーロ(約177億円)の支援を行うよう欧州連合(EU)加盟国に要請した。

 病原性大腸菌が引き起こす溶血性尿毒症症候群(HUS)による死者は、7日までに新たに1人増えて計24人となっている。ドイツ当局は当初、スペイン産キュウリが感染源と見て検査を行ったが、EHECは検出されなかった。そしてドイツ北部ニーダーザクセン(Lower Saxony)州は5日、州内の農場で生産されたモヤシが感染源である疑いがあると発表。HUSが大流行しているハンブルク(Hamburg)でも、感染者宅の冷蔵庫からこの農場産のモヤシが発見されたが、結局、農場から採取されたサンプルからも、冷蔵庫のモヤシからも、EHECは検出されていない。

 欧州委員会のダチアン・チョロス(Dacian Ciolos)農業・農村開発担当委員は会合で、消費者の野菜に対する信頼を取り戻すためにも早急に感染源を特定するよう、ドイツ政府に要請した。

 一方、世界保健機関(WHO)の伝染病専門家は、このような感染は1束の生産物から拡大することが多いが、サンプル検査の時点ではすでに汚染された生産物が出荷されるなどしているため、感染源の特定は特に難しいと指摘している。(c)AFP/Deborah Cole