食の安全にはほど遠く…汚染食品が続々発覚、中国
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【4月28日 AFP】2008年に有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んで乳児6人が死亡し、政府がメラニン入り乳製品の撲滅を誓った中国。だがこのところ、汚染された食品が相次いで見つかり、食の安全性への不安が再燃するとともに、巨大で規制も緩い食品産業への政府の監視能力の欠如があらためて浮き彫りになっている。
国営紙によると、見つかったのは、バクテリアにまみれたために暗闇で光を放つようになった豚肉、発がん物質が入ったもやし、禁止された化学保存料を使った蒸しパン、重金属に汚染されたコメ、などなど。
吐き気を催したくなるほどの新聞の見出しの数々に、温家宝(Wen Jiabao)首相は前週、製造業者の不道徳を非難する声明を発表。保健省も25日、禁止食品添加物151品目を使用した業者の取り締まりを開始した。
中央政府も、食品衛生に関する新たな規則を今年中に制定すると表明し、既存の食品衛生法が機能していないことを政府自身が認めた形になった。
上海政法学院(Shanghai University of Political Science and Law)のバオ・チェンシェン(Bao Chengsheng)教授は、「食品安全性問題の原因は多い。1つは、法制度が不完全であること。不明瞭な規制が多いことが法の抜け道を作っている」と指摘した。
■わいろで死肉も流通
バオ教授は、資金が十分ではない規制機関が無数にある製造業者・小売業者の監視を負わされていることが、見落としや汚職につながっているとも指摘した。
国営英字紙・環球時報(Global Times)によると、「豚肉ブローカー」たちは、違反に目をつぶってもらうために当局者に賄賂を払って、汚染された豚肉を流通させている。
こうした慣行は、本来ならば廃棄されなければならない病死した豚の死骸が食用として流通ルートに乗る要因にもなっている。専門家の話では、こうした死骸は毎年2000万~3000万頭ほど市場に出回っているという。
そして、食品衛生法の起草にかかわったある弁護士によると、当局者の収賄が発覚した場合でも、刑事責任には問われず、わずかな罰金で済まされてしまうことが多いという。
■根絶したはずのメラミン入り粉ミルクが…
そんななか、湖南(Hunan)省の村では前週末、クレンブテロールという薬物に汚染されたと見られる豚肉による集団食中毒が発生し、286人が病院で手当を受け、うち91人が入院した。クレンブテロールには豚肉の脂肪を減らす効果がある。
また、重慶(Chongqing)では最近、根絶されたはずのメラミン入り粉ミルクが26トンも見つかり、当局に押収された。(c)AFP/Robert Saiget