【4月6日 AFP】米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody's Investors Service)は5日、ポルトガルの格付けを「A3」から1段階引き下げ、「Baa1」にすると発表した。ムーディーズは、ポルトガルは債務問題解決のため、外部からの救済を求めることになるとの見方を示した。

 ムーディーズはポルトガル格下げについて、主に政治や財政、経済の不確実性が増していることから判断したと説明。また、こうした不確実性を受けて、同国政府が掲げる2011~14年の赤字削減目標の達成が不可能になるリスクが高まると指摘した。
  
 ポルトガル議会は先月、政府による財政緊縮策を否決、ジョゼ・ソクラテス(Jose Socrates)首相が辞任に追い込まれた。こうした事態を受け、ムーディーズが3月に続き、2度目の格下げを実施。他の格付け機関も格下げを実施している。

 市場では、財政危機に陥ったユーロ圏のギリシャやアイルランドと同様に、ポルトガルも外部支援を余儀なくされるとの見方が強まっており、ポルトガル国債の利回りが上昇している。

■格下げで財政に一層の圧力も

 格下げはその国の信用リスクの増大につながる。新たな資金を調達する際に、利回りが上昇し、財政に一層の圧力が掛かることになる。
 
 ポルトガル10年債利回りは4日、10営業日連続で上昇し、過去最高となる約8.5%付近と、長期的には持続不可能な水準に達した。

 ムーディーズは、欧州連合(EU)で最近合意された欧州安定化メカニズム(ESM)について、「債務再編が明確な可能性として規定されている」ため、投資家はポルトガル国債への投資により損失を被る恐れがあると警告する。

 ESMは、2010年に設立された欧州金融安定基金(EFSF)に替わる融資の枠組みで、13年からの発動が予定されている。(c)AFP

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