【3月2日 AFP】インドネシアで1週間以上抜け出せない大規模な交通渋滞が発生しており、1日にはトラックの運転手たちが携帯電話などの所持品を売って食料を調達するほどになっている。

 ジャワ(Java)島西部のメラク(Merak)港とスマトラ(Sumatra)島南東部のバカウヘニ(Bakauheni)港を海をまたいでつなぐ路線で、通常は3時間足らずで通過できるが、2月21日以降、一週間にわたってトラックとフェリーの渋滞が続いている。渋滞の全長は11キロ。大型トラック2000台が巻き込まれている。

 空腹と疲労に見舞われたトラック運転手たちは家にも帰れず、政府が渋滞を緩和できないことに怒りを示している。「もう3日間、ここで身動きが取れない。我慢の限界だ。有り金も尽きたから食料を買うのに携帯電話を売ったよ」と、トラック運転手のスロノさん(35)はAFPに語った。「渋滞に巻き込まれるのも2月だけで3度目だ。原因が分からない」と言う。別の運転手、エンディンさん(45)は、車で寝てる間に財布を盗まれたと言う。

 首都ジャカルタ(Jakarta)を含むインドネシア全体の取引や業務にも障害が出ている。政府は交通渋滞を解消するために追加のフェリーを3隻を派遣したと発表。インドネシア運輸省報道官は「さらに4隻が向かっている。渋滞は徐々に緩和し始めており、われわれも状況を注視し続けている」と語った。

 同報道官によると、ことしの1~2月のトラックの交通量は、スマトラ島での建設プロジェクト増加の影響により、前年比で10~17%増と予想を上回った。また、同航路で運航するフェリー30隻のうち、8隻が修理中だったことも影響していると説明した。

 インドネシアは先進国と新興国が参加する20か国・地域(G20)の一員で、経済成長の速さは現在、世界でトップクラス。ことしの成長率は6%を上回る見込みだ。インドネシア政府は前年、2014年までに1400億ドル(約11兆5000億円)をインフラ整備に費やす計画を発表した。

 しかし一方で、非効率な官僚主義に振り回されている上、汚職体質からも抜け出せず、急速な経済成長に道路や港湾、空港の設備が追いつけないでいると投資家や専門家は指摘する。(c)AFP