【3月1日 AFP】米政府は28日、昨年のメキシコ湾(Gulf of Mexico)原油流出事故後初めて、同湾での深海油田の掘削を許可したと発表した。

 電話会見した内務省の海洋エネルギー管理・規制・執行局(BOEMRE)のマイケル・ブロムウィッチ(Michael Bromwich)局長は、米中堅石油会社ノーブル・エナジー(Noble Energy)の申請を厳正に審査した結果、事故後に導入された新しい安全基準を満たしていると認めて許可したと述べた。この他に審査を待っている申請が7件あるが、「ひとつひとつの油田ごとに決定する」と強調した。

 ブロムウィッチ局長によると、ノーブル・エナジーが提出した申請の中には同様の事故の際、掘削請負業者のへリックス・エナジー・ソリューションズ(Helix Energy Solutions)と協働し、原油噴出を止める能力があることが示されていたと言う。

 2010年4月10日にメキシコ湾沖で起きた英エネルギー大手BPの石油掘削施設ディープウォーター・ホライズン(Deepwater Horizon)の爆発事故では、作業員11人が死亡し、掘削施設が水没した。この事故で流出した2億500万ガロンの原油でメキシコ湾に面した米海岸の漁場や生物の生息地は汚染され、観光業にも打撃を与えた。
 
 ディープウォーター・ホライズンの事故後、米政府は厳しい安全基準を導入し、前年11月末までとされていたメキシコ湾の深海掘削の禁止を予定より早く10月12日に解除していた。

 メキシコ湾に面するルイジアナ(Louisiana)州のボビー・ジンダル(Bobby Jindal)知事は、掘削許可の決定について「幸先の良い第1歩だ」と歓迎し、石油ガス業界の数千人の労働者が仕事に戻れるよう、掘削許可を出すペースを引き上げる必要があると語った。(c)AFP