【1月11日 AFP】仏自動車大手ルノー(Renault)を舞台とした産業スパイ騒動に中国が関与していたと報道されたことについて、中国外務省の洪磊(Hong Lei)報道官は11日、「根拠がなく無責任で、容認できない」主張だとして関与を否定した。

 仏紙フィガロ(Le Figaro)が10日、同社幹部2人がスイスとリヒテンシュタインの銀行に開設した口座に中国企業からの送金があったことが明らかになったと報じていた。これについて洪報道官は、記者団に「中国が関与したとされるこの報道について、われわれは全く根拠がなく無責任、容認できないものだと信じている」と述べた。

■電気自動車がターゲット

 ルノーは前週、同社の情報を漏えいしたとして幹部3人を停職処分にしたが、重要な企業秘密は盗まれなかったと発表している。ルノーの労組幹部がAFPに語ったところによると、同社の経営陣は11日に幹部3人から直接事情を聴く予定だという。

 ルノーが社運を賭ける電気自動車(EV)開発計画に関する詳細な情報が漏えいし、中国企業がその情報から利益を得られる立場にあると多くのメディアが報じているが、これまでのところ、ルノーも仏政府もこの報道を肯定していない。

■スイスとリヒテンシュタインの銀行口座

 フィガロ紙は10日夜の電子版で、ルノーが雇った民間の調査員が50万ユーロ(約5400万円)の預金が入ったスイスの口座と、13万ユーロ(約1400万円)の預金が入ったリヒテンシュタインの口座を突き止めたと報じた。フィガロは情報源を明らかにせず、この資金は中国の電力会社から送られたもので、おそらく資金の動きを隠すため、上海(Shanghai)やマルタなどの複数の口座を介して送金されたとしている。

 ルノーはフィガロの報道についてコメントをしていないが、同社ナンバー2のパトリック・ペラタ(Patrick Pelata)最高執行責任者(COO)は週末の仏紙ルモンド(Le Monde)に対し、この件には「組織的な国際ネットワーク」が関与していると語っている。(c)AFP

【関連記事】仏ルノーで産業スパイ、日産と共同開発のEV機密漏えい