【1月11日 AFP】トヨタ自動車(Toyota Motor)の豊田章男(Akio Toyoda)社長は10日、米ミシガン(Michigan)州デトロイト(Detroit)で、前年のリコール問題に疑いのまなざしを向ける記者たちを前に、おにぎりを使って顧客に対する同社の新しい姿勢を説明した。

 デトロイトで開幕した北米国際自動車ショー(North American International Auto Show)に初めて登場した豊田社長は、人気のハイブリッドカー「プリウス(Prius)」の新モデル3車種を北米向けに発表した後、部屋を埋めた30人ほどの報道陣に、日本語で「安全」と「安心」はよく似ているが、大量生産されたコンビニおにぎりと、お母さんの作ったおにぎりほどの違いがあると語った。

 豊田社長はコンビニおにぎりが安全であるようにトヨタの車も安全だとした上で、「母親の作るおにぎりのように、わたしたちは一台一台の車を心をこめて作りたい」と続け、顧客に安心感を与えることが目標だと語った。

■信頼回復に向け対策アピール

 トヨタは前年、死者を出した不具合の報告遅れについて米議会で激しい批判を浴びた。トヨタのリコール台数は1000万台に上り、輝かしい評判にも傷がついた。

 前月には2件のリコールについて合わせて3242万5000ドル(約27億円)の制裁金支払いに合意し、2010年の制裁金総額は約4880万ドル(約41億円)に上ったが、トヨタは米国の安全に関する法律には一切違反してないとの主張を崩さなかった。

 北米国際自動車ショーに初めて登場した豊田社長は、不具合問題への質問にもまったく動じずにしっかりとした口調で返答した。

 豊田社長は、祖父が70年前に創設した企業があまりに速く成長したことに問題の原因があったとあらためて指摘した上で、問題解決に向けすでに多くの対策をとり、今後も多くの課題に取り組んでいくと述べた。

 豊田社長は、これまでに実施した対策として、顧客からの苦情やリコールの可能性のある問題などへの対応を中心に、トヨタの北米部門経営陣の決定権を強化したと説明。また、共同安全研究センターを米ミシガン(Michigan)州に設立することも発表した。その上で、トヨタの評価は永久に傷ついたわけではないと強調した。

 また、豊田社長は、トヨタ車のデザインが多少味気ないことを認め、今後改善していくことを約束した。(c)AFP/Mira Oberman