苦しむ低価格車「ナノ」、11月の販売たった509台
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【12月27日 AFP】インド国民12億人の巨大市場に新旋風を巻き起こすと期待された同国自動車大手タタ・モーターズ(Tata Motors)の「世界一の低価格車」ナノ(Nano)が、予想外の売れ行き不振にあえいでいる。
■11月の販売わずか509台、前年比85%減
ナノは、二輪中心のインド国民の「足」を四輪に乗り換えさせるとのうたい文句を掲げて発売された。開発を指揮したタタのラタン・タタ(Ratan Tata)会長を、T型フォードで米市場に革命をもたらしたフォード・モーター(Ford Motor)創設者のヘンリー・フォード(Henry Ford)氏になぞらえる声もあった。
しかし、11月のナノの販売台数は過去最低の509台と、前年同期比で85%も急落した。
インド自動車市場そのものは急拡大を続けており、他社の小型車の販売は好調だ。日本のスズキ(Suzuki Motor)のインド子会社、マルチ・スズキ・インディア(Maruti Suzuki India)が製造するアルト(Alto)は、ナノの次に低価格とはいえ、価格差は2倍近い。にもかかわらず、11月に3万3000台を売り上げた。
ナノ不振の背景には、相次ぐ発火事故や製造の遅れなどが指摘されている。
建て直しに躍起のタタは今月、ナノの保証期間を18か月から4年に延長し、メンテナンス契約を月額99ルピー(約180円)で提供する「タタ・ナノ・ハッピネス・ギャランティー」キャンペーンを実施。さらに、48時間以内に申込者の9割に自動車ローンを提供する新たなローンも開始した。
■発火事故や値上げが影響
相次ぐ発火事故は、そのうちの1件の映像が繰り返しテレビで放映されたことも手伝って、ナノのイメージを傷つけた。「安全品質に対する(人びとの)認識は、懸念材料になり得る」と、ムンバイ(Mumbai)のフォーチュン・エクイティ・ブローカーズ(Fortune Equity Brokers)のアナリストは指摘する。
値上げの影響も大きいとみられる。ナノのエアコン無しの基本モデルは、発売価格は10万ルピー(約18万円)だったが、製造原価の上昇により13万7000ルピー(約25万円)に値上げされた。
エアコン付きのモデルだと最安値で16万ルピー(約29万円)になるが、ある自動車評論家は「その価格なら、状態の良いエアコン付きの中古車が他にいくらでも選べる」と言う。
ただ、タタは資金が潤沢なため、ナノを再び軌道に乗せることは可能と専門家らはみている。
インド大手自動車誌「オートカー(Autocar)」編集者のHormuz Sorabjee氏は、「タタにとって良いことは、ナノを購入した顧客が満足していることだ。口コミはゆっくりとしか広がらないが、この車には潜在能力があると思っている」と語った。(c)AFP/Penny MacRae
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◆【図解】インド・タタ・モーターズの超低価格小型車「タタナノ」
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■11月の販売わずか509台、前年比85%減
ナノは、二輪中心のインド国民の「足」を四輪に乗り換えさせるとのうたい文句を掲げて発売された。開発を指揮したタタのラタン・タタ(Ratan Tata)会長を、T型フォードで米市場に革命をもたらしたフォード・モーター(Ford Motor)創設者のヘンリー・フォード(Henry Ford)氏になぞらえる声もあった。
しかし、11月のナノの販売台数は過去最低の509台と、前年同期比で85%も急落した。
インド自動車市場そのものは急拡大を続けており、他社の小型車の販売は好調だ。日本のスズキ(Suzuki Motor)のインド子会社、マルチ・スズキ・インディア(Maruti Suzuki India)が製造するアルト(Alto)は、ナノの次に低価格とはいえ、価格差は2倍近い。にもかかわらず、11月に3万3000台を売り上げた。
ナノ不振の背景には、相次ぐ発火事故や製造の遅れなどが指摘されている。
建て直しに躍起のタタは今月、ナノの保証期間を18か月から4年に延長し、メンテナンス契約を月額99ルピー(約180円)で提供する「タタ・ナノ・ハッピネス・ギャランティー」キャンペーンを実施。さらに、48時間以内に申込者の9割に自動車ローンを提供する新たなローンも開始した。
■発火事故や値上げが影響
相次ぐ発火事故は、そのうちの1件の映像が繰り返しテレビで放映されたことも手伝って、ナノのイメージを傷つけた。「安全品質に対する(人びとの)認識は、懸念材料になり得る」と、ムンバイ(Mumbai)のフォーチュン・エクイティ・ブローカーズ(Fortune Equity Brokers)のアナリストは指摘する。
値上げの影響も大きいとみられる。ナノのエアコン無しの基本モデルは、発売価格は10万ルピー(約18万円)だったが、製造原価の上昇により13万7000ルピー(約25万円)に値上げされた。
エアコン付きのモデルだと最安値で16万ルピー(約29万円)になるが、ある自動車評論家は「その価格なら、状態の良いエアコン付きの中古車が他にいくらでも選べる」と言う。
ただ、タタは資金が潤沢なため、ナノを再び軌道に乗せることは可能と専門家らはみている。
インド大手自動車誌「オートカー(Autocar)」編集者のHormuz Sorabjee氏は、「タタにとって良いことは、ナノを購入した顧客が満足していることだ。口コミはゆっくりとしか広がらないが、この車には潜在能力があると思っている」と語った。(c)AFP/Penny MacRae
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