【12月21日 AFP】中国国民の間で生活に対する不満が高まり、政府の統治能力や経済政策への信頼も低下しているとの報告書を政府系シンクタンクが発表した。

 中国社会科学院(Chinese Academy of Social SciencesCASS)が世論調査をもとに発行する年次報告書、「社会藍皮書(Blue Book of China's Society)」(社会青書)で、主要7都市とそれよりも小規模の7都市で4100人以上を対象にした。

 今年は、雇用や社会保障への満足感が、過去4年間で最も低い水準となった。報告書は「2010年になって国際金融危機の影響が徐々に現れ、都市および郊外の住民の生活に対する満足感が全体的に低下した」と説明している。

 経済や社会、外交などの問題における政府の対応力への信頼感も低下していた。また世界における中国の地位を誇りに思うと考える人は過去4年連続、増加傾向にあったが、今年は2006年の水準にまで低下した。

■高まるインフレ不安

 一方、物価上昇を吸収する力が大幅に低下する中、インフレーションに対して高まる国民の不安を示すように、不安に感じることのリストのトップに挙げられたのは物価だった。

 中国の消費者物価指数(CPI)は11月に前年同月比で5.1%上昇。過去2年で最大の上昇幅で、中国政府の年間目標である3%を大幅に上回っている。

 また医療制度改革や、上昇する一途の不動産価格に対する不安も高まっていた。政府に期待する政策のトップは、住宅価格の抑制だった。主要都市の不動産価格は、11月に前年同月比で7.7%上昇。前月比では0.3%、3か月連続の上昇となった。(c)AFP