【12月11日 AFP】欧州中央銀行(European Central BankECB)は8日、ドイツのフランクフルト(Frankfurt)で地元の高校生らを招き、ウェブブラウザゲーム「Economia(エコノミア)」を発表した。

 ゲームの目標は、四半期(3か月)ごとのユーロの政策金利を8年間操作し、ユーロ圏のインフレ率を2%をわずかに下回るというECBの目標水準に維持すること。実際のECB当局者と同様にアドバイザーから助言を受けたり、各種の経済指標を参考にしたりしながら、政策金利を決定する。

 ところがこれが思ったほど簡単ではない。時間が経過するにつれて石油危機などのさまざまな「不測の事態」がプレーヤーを襲い、状況はどんどん難しくなっていく。プレーヤーが政策金利を変えるたびに失業率や通貨供給量、生産量が増減し、プレーヤーはバーチャルなユーロ圏の経済を崩壊させてしまうかもしれない。

 さらに「プレス(報道)」メニューがリアリティを演出する。ここでは、自分の行動に対して新聞がどのように報じるかを見ることができる。政策次第では「利下げ要求を黙殺」や「生産量急落、回復のめどたたず」などといった見出しが並ぶ。

■まずまずの反響

 8日のプレミア公開の日にゲームをテストした高校生たちは、ゲームに手応えを感じたようだ。16歳の高校生は「とても面白かったわ」と述べたが、「失業率は重要な指標じゃなくて、物価の安定だけが大切」になっているゲームの「仕様」に少し不満な様子だった。地元のフランス人学校で学ぶ16歳の高校生は「リアルだね。データ量が多くて追いかけるのが大変だよ」と評価した。

 同じサイトではインフレとデフレの影響を視覚的に理解できる「インフレーション・アイランド」というコーナーも設けられているほか、教員用の小冊子と生徒に配付する資料をダウンロードすることもできる。奇妙な宇宙生物「インフレーション・モンスター」が登場する8分のアニメも公開されている。いずれも欧州連合(EU)公用語の22の言語で利用できる。

 ECBはゲームが好評であればiPhoneやiPad版も作りたい考えだ。次回作の計画もあるとのこと。(c)AFP

【参考】ブラウザゲーム「エコノミア」