【9月27日 AFP】沖縄県・尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:釣魚島)沖での中国漁船衝突事件に絡み日中関係が緊張する中、中国の税関当局が日本との輸出入に関する通関検査を厳格化し、荷動きに滞りが出ていることが、27日までに明らかになった。

 読売新聞によると、レアアース(希土類)以外でも通関の遅れが頻発している。同紙は、漁船衝突事件に関連した中国の対抗措置の可能性もあり、政府が実態把握を急いでいると伝えた。報道によると上海(Shanghai)の税関当局は、通常3割程度の抜き取り検査の割合を100%に、検疫検査の割合も10%から50%に引き上げた。

 日本へ輸出される電子部品などが上海で足止めされているほか、福建(Fujian)省、広東(Guangdong)省、遼寧(Liaoning )省の税関でも検査が強化されていると言う。

 AFPは上海の税関当局に取材を申し込んだが、談話は得られなかった。貨物運送会社、上海海華輪船(Shanghai Haihua Shipping)の社員は、顧客から通関に遅れが出ているという報告や苦情が届いていると語った。

 一方、中国政府は、自動車業界など日本の大手企業がハイテク製品を製造する際に必要なレアアースについて、当局が積み込みを阻むなどして、輸出を遅らせているとの報道を否定している。

 大畠章宏(Akihiro Ohata)経済産業相は前週末、「日中関係が冷え込むのは世界経済にもマイナス」と語っている。

 日本側が逮捕した中国人船長を24日に釈放した後も、中国は繰り返し日本に謝罪と賠償を要求するなどし、両国関係の緊張が緩む気配は見えていない。

 また、軍事管理区域に侵入し、ビデオ撮影していたとの疑いで中国が拘束したフジタの社員4人は釈放されていない。(c)AFP