【9月24日 AFP】世界一の水産物消費国は、日本ではなく中国だった――。22日、漁業規模を評価する新指標を導入したこのような研究結果が報告された。

 米国とカナダの海洋研究チームは、これまで中国の水産物消費が日本より少ないとされてきたのは、中国ではマグロやサケといった高価な魚の消費が比較的少ないからだと指摘。異なる水産物が生産されるまでに必要とされる資源をすべて合算して測定し、その結果、海洋食物連鎖の最上位に来るのは中国となることを示した。日本は2位、米国が3位だった。

 報告はまた、富裕国の間でも消費量にばらつきがある点、世界の漁業はますます持続性を失っている点なども指摘された。

■新たな指標「シーフード・プリント」

 カナダのブリティッシュ・コロンビア大学水産センター(Fisheries Centre at the University of British Columbia)のダニエル・パウリ(Daniel Pauly)所長率いる米加2か国のチームは今回、一定の場所と暮らし方ごとに必要な面積を割り出して人間の自然環境への依存度を表す指標「エコロジカル・フットプリント」にならい、「シーフード・プリント(SeafoodPrint)」という指標を開発し、使用した。

 報告の共著者で経済学の博士課程生であるウィルフ・シュワルツ(Wilf Swartz)氏によると、具体的には、魚ごとにその魚を生産するために必要な藻類の量に換算して消費量を比較した。「すべてを藻類の重量に換算して表現しなおすことで、どれだけの海洋生産物が人間によって消費されているのかを比べることができた。例えばニシン1キロは藻類100キロ分、マグロ1キロは藻類1トン分という具合だ」

 この指標を使えば規制機関などで、人間が海洋に与えるすべての影響を数字で評価することが可能となり、また影響の少ない種に消費を誘導することなども期待できる。

 研究に共同出資したナショナル・ジオグラフィック(National Geographic)は「一般的に、平均的な中国人消費者が食べる水産物の量は、平均的な日本人よりも少ないが、中国はその膨大な人口によって、6億9400万トンの一次生産を消費するという世界で最も大きな『シーフード・プリント』を残している」とコメントした。(c)AFP