【6月2日 AFP】中国人民銀行(中央銀行)の金融政策委員を務める李稻葵(Li Daokui)氏は、1日付けの英紙フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)のインタビューで、現在中国で起きている住宅市場問題は、国際金融危機の発端となった米国の住宅ローン問題よりも深刻だと警鐘を鳴らし、国民の不満を爆発させかねないとの懸念を示した。

 李氏は「中国の住宅市場問題は、金融危機前の米国や英国の住宅市場問題に比べてずっと根本的で、ずっと大きく、単なるバブル問題以上のものだ」と語り、住宅価格の高騰によって都市化に歯止めがかかり、今後の経済成長がかげる恐れがあると語った。また特に持ち家をもつ可能性を閉ざされたと感じた若年層を中心とする国民の不満が、政治的な火種になりかねないと指摘した。

 中国の公式データによると、4月の国内70都市の不動産の平均価格は、前年同月比では過去5年間で最高の12.8%の上昇を記録した。

 また国営メディアによると、同月に北京で開催された不動産業界の展示会では、出展されていた同市の新築集合住宅の平均価格が1平方メートル当たり2万1164元(約28万円)と前年の倍だった。これを仮に広さ90平方メートルのマンションに換算すると190万元(約2550万円)となる。2009年の1人当たりの国民平均所得が1万7175元(約23万円)だった中国人には手の届かない値段といえる。
 
 中国国務院(内閣に相当)は固定資産税制の改革を段階的に行っていくと発表したが、これは価格高騰の抑制するため居住用不動産に課税する可能性に当局が初めて言及したものだ。中国では現在、商業用不動産は課税されているが、住居用不動産は課税されてない。

 住宅への課税はまず6月末までに北京、上海(Shanghai)、重慶(Chongqing)、深セン(Shenzhen)で試験的に導入されると報じられている。(c)AFP/Fran Wang