【5月26日 AFP】ローレンス・サマーズ(Lawrence Summers)米国家経済会議(National Economic CouncilNEC)委員長は24日、ワシントンD.C.(Washington D.C.)で行った講演の中で、米経済が回復軌道に乗るまでは、急増する財政赤字削減に取り組むことはできないだろうとの見解を示した。

 サマーズ委員長は、財政支出がぜい弱な景気回復を支えていくとの考えを示し、短期的には財政支出は維持すべきだと語った。

 さらに、「経済成長や堅調な経済活動が見られない状態における健全な予算など想像もできない」と述べ、「適切かつ短期的な拡張的予算政策は、健全な経済成長に必要な信頼創出に重要な役割を果たすことが可能だ」とした。

 米経済は、前年中ごろから回復の兆しを見せているものの、この数十年で最悪と言われる景気後退局面に入って以来、800万人以上の米国民が職を失っており、失業率は約10%まで上昇している。サマーズ委員長は、「失業と長期的な財政問題を分けて考えることは不可能だ」との見方を示した。

 今後2~3年で、景気回復と非安全保障関連支出の凍結や高所得者向け減税の終了などの緊縮予算政策とによって赤字比率は半減するとし、第2次世界大戦以来最もスピーディーな赤字削減になるだろうとの見通しを示した。(c)AFP