【3月14日 AFP】「ケーブルテレビの報道専門チャンネルにとって最大の脅威は、フェースブック(Facebook)などのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)だ」と、米ケーブルテレビ局CNNのジョン・クライン(Jon Klein)社長が10日、米国で行われたメディア・サミットで語った。

 米金融情報大手ブルームバーグ(Bloomberg)の経済誌ビジネス・ウィーク(BusinessWeek)が主催した「ブルームバーグ・ビジネスウィーク 2010メディア・サミット」(Bloomberg BusinessWeek 2010 Media Summit)でクライン社長は、ケーブルテレビの視聴者を奪うメディアとして、最も恐れている競争相手はSNSだと明言した。「多くの人たちが、フェースブックの『友人』や、ツイッター(Twitter)でフォローしている人物を、信頼できる情報ソースだと考えて、彼らが送るリンク先を閲覧し、その情報をまた信頼する。しかし、われわれが目指すのは、最も信頼されるニュース・ブランド。ツイッター上の1000人のほうがニュースソースとして信頼が置けるなどという状況は望まない。これは挑戦であり、われわれは対応しなければならない」

 クライン氏は懸念している状況の例として、CNNの競合チャンネルであるメディア大手ニューズ・コープ(News Corp.)のニュース専門局FOXニュースの視聴者が200万人であるのに対し、フェースブックの利用者は5億人に迫っている点を挙げた。そして自社CNNのネットワークの目標は、SNSやウェブサイトのユーザーたちが「めぐりめぐってCNN自体のなにかにリンクを張ろうと戻ってくるようにすることだ」と述べた。

 また、ニュースサイトの爆発的増加や、ニュース現場にインターネットが入り込むことだけでは十分でないとも指摘した。「単に現場に行くというだけでも以前は大きな成果だっただろうが、今ではただ存在するだけ以上に何かを提供しなければ価値がない。深みのあるニュースや分析は簡単なことではなく、より深い知性や思考、経験、創造性などが要求される。今日何が起きたかというニュースならば、最近はみんなよく知っている。それ以上に、今何が起こりつつあるのかということについてもっと深い見識を(メディアは)提供すべきだ。この部分で、われわれはこれからも差をつけていく」(c)AFP