【11月23日 AFP】米国で、不況に伴う犯罪増加や民主党政権の銃規制強化への懸念から、銃器の売れ行きが非常に好調だ。米バージニア(Virginia)州シャンティリー(Chantilly)で前週末開かれた銃器や護身用品の見本市「シャンティリー・ガン・ショー(Chantilly Gun Show)」も大盛況で、購入後すぐ使用可能な状態で展示されたスミス&ウエッソン(Smith and Wessons)、グロック(Glocks)、ワルサー(Walthers)、コルト(Colts)、ベレッタ(Berettas)などの銃器に人だかりができた。

 同見本市には約260業者が出展し、主催者によれば3日間で約1万2000人の来場が見込まれる。

 会期中に500丁を売り上げたいという老舗銃業者のジェリー・コクラン(Jerry Cochran)さんによると、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領の米大統領選当選が有力視されだした2008年10月から、銃器の売り上げは急に伸び始め、この1年で倍増した。

 今日、店頭で売られる銃器は、使用者の好みに応じて形もサイズも様々だ。女性向けに、持ち手がピンクやパールホワイトとカラフルなチタン製の超軽量拳銃もある。

■簡単に手に入る銃、許可証不要なテーザー銃

 米国では、銃器を他人から見える状態で保持するか、許可証を所持していれば、弾薬を装てんした状態での銃器携帯が認められており、拳銃や半自動小銃がごく普通に販売されているのが実情だ。購入に際して記入する調査票では、犯罪歴の有無や不法移民でないか、ストーカー行為やハラスメントなどで裁判所命令を受けていないか、などが問われる。

 一方、「シャンティリー・ガン・ショー」一番の売れ筋でもあるテーザー(Taser)銃は、警察官が使用するスタンガン並みの威力を持ち、5万ボルトの強烈な電気ショックで相手を意識不明に陥らせるが、販売や購入に特別な許可は不要。350ドル(約3万円)前後で、ニューヨーク(New York)、ワシントンD.C.(Washington D.C.)以外なら米国内のどこでも入手できる。

■1か月で10万丁が売れ、年に3万人が死亡

 米連邦捜査局(Federal Bureau of InvestigationFBI)の統計によると、オバマ政権による銃規制強化や不況下での犯罪増加への懸念の高まりを背景に、2009年1~3月の銃器売上は30%増加した。今年9月は12.4%増で、これは1か月あたり10万丁が売れた計算になる。

 2009年の年間総売上は、1350万丁に達する見通しだ。一方で、米国における銃が原因の死者数は年間3万人に上る。(c)AFP

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