【11月17日 AFP】世界の食糧安全保障問題を話し合う国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganisationFAO)の「食糧安全保障に関する世界サミット(World Summit on Food Security)」が16日、イタリア・ローマ(Rome)のFAO本部で始まった。

 3日間の日程の初日となる同日、国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長はサミットの開会にあたり、「今日の食糧危機は、明日の世界への警鐘だ」との危機感を示し、「気候変動がより激しく予測不能となっているにもかかわらず、90億の世界人口が見込まれる2025年までに、7割の食糧増産が必要だ」と語った。

 また、ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)は、穀物を投機の手段とする人びとの「強欲」を非難し、「飢餓は世界人口の6分の1に相当する人びとの生命、生活、尊厳を破滅させる受け入れがたいものだ」と述べた。

 続いて同サミットは、「最もぜい弱な状態にある人びとを支援する直接的な行動」など、5つの原則を示した共同宣言を採択した。

 だが、イタリアのラクイラ(L'aquila)で7月に開催された主要8か国(G8)首脳会議で合意した先進国による3年間で200億ドル(約1兆8000億円)の拠出については、共同宣言に盛り込まれなかった。また、「2025年までの飢餓根絶」を目指した国連目標への言及もなく、国際NGOなどからは怒りの声があがっている。

 同サミットには約60か国の国家元首が出席しているが、有効性に疑問があるとして先進国首脳のほとんどは参加を見送っている。(c)AFP/Gina Doggett