【11月2日 AFP】英政府は1日、昨年の金融危機の影響による経営難で一時的に国有化した英金融大手3行を分割し、新たに預金業務と住宅ローン業務に特化した3つの新銀行を設立する方針を発表した。

 アリステア・ダーリング(Alistair Darling)財務相によると、分割対象となるのは、英銀大手ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(Royal Bank of ScotlandRBS)、ロイズ・バンキング・グループ(Lloyds Banking Group)、英住宅金融大手・中堅銀行ノーザン・ロック(Northern Rock)の3行。それぞれ分割した上で、今後の数年間で一部事業を売却する。

 ダーリング財務相は計画の詳細は明らかにしなかったが、同日の英メディア報道によると、RSBが300店舗を売却するほか、英政府の株式保有率を84%に引き上げるという。ロイズは130億ポンド(約2兆円)の株主割当増資を行うとみられる。

 競争を促進させるため、売却先は金融事業への新規参入者を対象とする見込みだ。英日曜紙サンデーテレグラフ(Sunday Telegraph)は、国内金融機関が参入を認められず、米、豪、中東などの所有となる可能性もあると報じている。

 現在、3行における英政府の株式保有率は、RBSが70%、ロイズが43%で、ノーザン・ロックは100%国有化されている。巨額の公的資金投入による3行救済について、欧州連合(EU)などの金融規制当局は、競争上不当な優位性を与えるとして懸念を示していた。(c)AFP