【10月28日 AFP】中国・上海(Shanghai)の電気街では、30日の米アップル(Apple)携帯電話端末「iPhone(アイフォーン)」の正式発売前に在庫を売りさばこうと、iPhoneの偽物や輸入品が入り混ざり、ずらりと店頭に並んでいる。

 携帯電話が高く積み上がった小さなカウンターの奥に座る20代の販売員は、「海外から持ち込まれた本物のiPhoneよりも、『よくできた偽物』の方がよく売れるんだよ」と語る。

 販売員のあけすけな発言は、中国連合通信(チャイナユニコム、China Unicom)にとってはあまり良いニュースではない。チャイナユニコムは世界最大の携帯電話市場の中国で、30日からiPhoneの正式販売を開始するが、iPhoneの米国発売開始から、実に2年以上が経ってしまった。

 チャイナユニコムは3年間で500万台のiPhoneの販売を目指している。しかし、ハイテク好きな消費者らは何か月も前から安価な偽造品を購入したり海外版のiPhoneを取り寄せて使っている状態で、専門家や消費者らは、その目標をあまり現実的ではないと見ている。

 マーケティング会社CMRChina Market Research Group、本社上海)のShaun Rein代表によると、中国の約7億2000万人の携帯電話利用者のうち、実に200万人が、すでに中国内外で購入した本物のiPhoneを使用しており、iPhone需要はすでに満たされているというのだ。

 それに加えて多くの中国人が、本物とほとんど見分けのつかない偽物のiPhoneを使っているという。偽物には、中国で人気のインスタントメッセンジャー「QQ」もプリインストールされてくるオプション付きのものもある。

 契約者数で中国2位の携帯キャリア、チャイナユニコムは今月初め、月額126~886元(約1700~1万2000円)の間で、8人分のiPhone契約パックを提供すると発表した。

 しかし、中国では大半の携帯電話がプリペイド方式だ。これは、Rein氏によれば、契約には雇用主による保証や、居住許可証などの公文書が必要で、主要都市ではこれらの取得が困難なことが要因の1つとなっているという。

 一方、iPhone本体を単体で購入する場合は、4999元(約6万7000円)と高額。しかも、初期のモデルは中国市場だけでなく世界市場でも大きなセールスポイントとなっている無線LANのWiFi(ワイファイ)が、未搭載のモデルになるという。(c)AFP