【10月23日 AFP】裕福なドイツ人のグループが、ドイツを金融危機から立ち直らせる力になりたいと、財産税の導入を求める活動を展開している。独紙ターゲスシュピーゲル(Tagesspiegel)が伝えた。

 嘆願書にはこれまでに44人が署名した。この嘆願書はグループのウェブサイトに掲載されている。

 署名した1人、元医師のディーター・ケルムクール(Dieter Kelmkuhl)さん(66)の試算によると、50万ユーロ(約6900万円)以上の資産を持つドイツ人220万人が今年と来年、その財産の5%の税金を納めれば、国庫に1000億ユーロ(約14兆円)を提供できるという。

 グループは1997年に廃止された財産税を再導入し、税率は最初の2年間は5%、その後は廃止時の税率だった1%にすることを提案している。ドイツはキャピタルゲインには現在も25%の税金をかけている。

 ケルムクールさんは、ドイツ国内で貧富の差が拡大し国の財政も厳しい中、政府が金融機関の救済や景気回復のため数十億ユーロ(数千億円)の支出に踏み切ったことをみて、「今こそ富裕層が祖国を助ける時だ」と考えたのだという。

 米国には約700人の裕福な米国人が所属する団体「公平な経済のための連合(United for a Fair EconomyUFE)」が存在するが、ケルムクールさんはドイツ版UFEが誕生することを望んでいるという。

 ペーター・フォルマー(Peter Vollmer)さん(69)は、自分には必要ない多額の資産を相続したので請願書に署名したと語っている。(c)AFP

【参考】財産税の再導入を求めるグループのサイト(ドイツ語)