【10月5日 AFP】金融危機の影響で「世界経済地図」が塗り替えられつつある――。経済会議が開催されているトルコ・イスタンブール(Istanbul)で前週末、世界銀行(World Bank)と国際通貨基金(International Monetary FundIMF)のトップがそれぞれ、金融危機で個人消費が減少した米国に変わって中国やインドなどの新興国市場が世界経済を牽引しているとの見方を示した。

 世銀のロバート・ゼーリック(Robert Zoellick)総裁は、「金融危機の遺産の1つは、経済大国間の関係が変化したことを知らしめたことだろう」と指摘。「最近の見通しでは、中国とインドが世界経済を不況から救い出す役割を果たすとみられている。米個人消費にほとんど依存しない多極化した経済が、世界経済をより安定化させるだろう」と語った。

 一方、IMFのドミニク・ストロスカーン(Dominique Strauss-Kahn)専務理事も、「米国というエンジンは以前ほど強力ではない」「新興国はますます重要なパートナーになりつつある」などと述べ、新興国がこれまで以上にIMFの方針決定に関与することを求めた。

 米経済において個人消費は経済活動の3分の2を占めており、専門家らは米個人消費の低迷が世界における米国の地位に深刻な影響を及ぼす可能性を指摘している。

 IMFが1日に発表した経済見通しでは、2010年の先進国の経済成長率予測がわずか1.3%増だったのに対し、新興国の成長率は5.1%増。国別では中国9.0%増、インド6.4%増とされ、米国の1.5%増を大きく上回った。(c)AFP/Dario Thuburn