【9月15日 AFP】英貴金属調査「ゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズ(GFMS)」は、14日に発表した金市場年次報告書のなかで、最近のドル安傾向や金以外の資産への需要低迷に後押しされ、金価格が1000ドル(1オンス当たり)を越える可能性が高いと指摘した。

 GFMSの報告書発表に先立つ11日の米ニューヨーク商品取引所では、金先物相場が2008年3月に記録した最高値1032.70ドルに迫る1011.95ドルの高値をつけている。

 金価格上昇の背景には、ドル安によるドル建て商品価格の下落で、ドル以外の基軸通貨保持者による金需要の増加がある。

 報告書のなかで、GFMSのフィリップ・クラプウィク(Philip Klapwijk)会長は、「中期的には公債の貨幣化や米国を中心とした超低金利を通じて、インフレ圧力が蓄積されることになるだろう」と予測。経済は回復基調にあるとの議論が尻つぼみとなるなか、ドル安や従来型資産への失望感から、金価格が1000ドルを大幅に上回る可能性は高いと結論づけた。

 その一方で、各国の景気刺激策が低迷し、インフレ誘導に失敗すれば、現在の金相場の上昇傾向にも歯止めがかかるだろうと警告した。

 伝統的に安全な投資資産とみなされてきた金は、インフレ懸念が高まると価格が上昇する傾向にある。(c)AFP