【9月13日 AFP】イスラム教徒の女性は、アルコール分やブタ由来の成分を含むスキンクリームを使うのは、イスラム教の教えに反しているという罪悪感を覚える。この問題を解決したのが、カナダ人のメークアップアーティスト、ライラ・マンディ(Layla Mandi)さんだ。「ハラル(halal)」、つまりイスラム教の戒律に違反していない化粧品を開発したのだ。

 マンディさんはイスラム教に改宗した女性で、「ワンピュア(OnePure)」という化粧品の開発・販売を手がけている。「国際的な有名ブランドの高級さがあり、かつイスラム教の戒律に違反した成分は除かれた化粧品」だと、マンディさんは説明する。

 イスラム銀行からアルコール・フリーのホテルまで、イスラム教徒の間で「ハラル」認証を受けた商品の人気が高まっている。世界中の敬けんなイスラム教徒はハラル食品だけを購入する。

 ブタとブタに由来する製品や、アルコールを使った製品は「ハラル」ではない。ところが現在の化粧品の大半にはアルコールと豚由来の成分が使われている。保湿成分、シャンプー、美顔パック、口紅などに使われている脂肪酸やゼラチンはほとんどの場合ブタ由来のものだと、マンディさんは指摘する。

 ハラル化粧品を作ることを決めたマンディさんは皮膚科の専門医と薬剤師に依頼し、ブタ由来の成分とアルコール分を使わない化粧品とスキンケア製品を開発した。競争の激しい化粧品業界で足がかりを得るため、マンディさんは製品をきらびやかなパッケージで提供している。消費者から「ハラル化粧品を買いたいけれど、パッケージがクールじゃない」と言われたくないからだという。

 一般の店舗では販売されていないが、マレーシア、ヨルダン、英国のオンラインストアで購入できる。最近ではオンラインストアだけでなく、世界一高い建造物となるドバイの「ブルジュ・ドバイ(Burj Dubai)」があるショッピングモールのブティックやサウジアラビア航空(Saudi Arabian Airlines)でも販売されるようになった。
 
 中近東初のハラル化粧品と銘打つワンピュアは、マレーシアでイスラム教徒の肉や日用品のハラル認定を行うイスラム教団体の認定を受けている。しかしハラル化粧品はアジアで市場が立ち上がりつつある段階で、アラブ諸国ではまだ物珍しい存在だ。

「ワンピュアは、湾岸協力会議(Gulf Cooperation CouncilGCC)加盟国の女性を特に念頭に置いて開発しました。将来は男性向けの製品ラインも開発したいけれど、今は女性向けだけです。この地域では、とても必要とされている商品です」とマンディさんは語った。(c)AFP/Ola Galal