【8月31日 AFP】アジア経済の急速な発展に伴い、オーストラリアの液化天然ガス(LNG)に注目が集まっている。同国は天然ガス資源の開発を積極的に進め、「天然ガスの中東」になることを目指している。

 オーストラリア政府は前週、ウエスタンオーストラリア(Western Australia)州の大規模LNG開発「ゴーゴン(Gorgon)」事業を認可した。ゴーゴンについて、ケビン・ラッド(Kevin Rudd)首相は、事業費は総額500億オーストラリア・ドル(約3兆9000億円)の規模で、6000人の雇用を創出すると語っている。

 ゴーゴン事業を進めている米石油大手シェブロン(Chevron)や同エクソンモービル(ExxonMobil)、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)はすでに、中国やインドの企業との間に総額600億ドル(約5兆6000億円)以上の供給契約を結んでいる。2014年の操業開始までにさらに多くの国と供給契約を結ぶ見込みだ。

 ゴーゴンは、今後10年間に計画されている多くのLNG事業の1つにすぎない。専門家はオーストラリアが世界最大規模の天然ガス輸出国カタールに匹敵する存在になり、天然ガスはオーストラリアに巨額の収入をもたらすとの見方を示している。

 アジア諸国が石炭や鉄鉱石を必要としているおかげで、オーストラリアは世界的な経済危機のなかでも景気後退入りを避けることができたが、アナリストは、次にブームがくるのはLNGだと指摘する。

 オーストラリアは2006年に計1520万トンの天然ガスを輸出したが、同国政府は現在計画されているプロジェクトがすべて開始されれば、2015年までに約4倍の6000万トンにまで増加すると試算している。(c)AFP/Neil Sands