【5月10日 AFP】フランスの服地メーカーが、従業員9人に対し、インドの工場に転勤して大幅な減給を受けるかクビになるかを選択するよう迫ったとして、激しい怒りを引き起こしている。

 労組幹部によると、服地メーカーのカルマン(Carreman)は、フランス南西部カストル(Castres)の工場で働く従業員に対し、インドのバンガロール(Bangalore)に転勤した場合、月給69ユーロ(約9300円)を支払うと提案したという。

 フランスの法定最低賃金は、月給の場合で1321ユーロ(約18万円)と定められている。

 工場長のフランソワ・モレル(Francois Morel)氏は地元紙に対し、従業員に解雇を言い渡す前に、グループ企業内の別の勤務先での就労の提案を義務づける法規定があったと説明し、この法規定が「ばかげている」と付け足した。

 フランスの労働組合、労働総同盟(CGT)幹部のエドモンド・アンドリュー(Edmond Andreu)氏は、AFPに対し、モレル氏の提案は、同工場の従業員の間に「怒りを通り越して感覚がマヒしたような気分」を引き起こしたと語った。アンドリュー氏は、この提案を受け入れる人が1人もいないことは明らかだと述べた。

 インド・バンガロールの工場で働く従業員は、週6日勤務で月に69ユーロ相当の給料を支払われている。また、年1回、1か月分のボーナスを支給され、医療保険を受けている。

 カストルの工場で働く従業員9人は、この提案で、ほかにも、航空券の支給と移住手当ての1000ユーロ(約13万4000円)の支払いを約束されたという。(c)AFP