【4月13日 AFP】大恐慌以来最悪の経済危機に陥っている米国で、子どもたちもその影響をひしひしと感じとっている。

 たとえば、3世代のなかで最悪の景気低迷の中、仕事に就いた若きデメトリ・ウルフマリス(Demetri Wolfe-Maris)くんは、まだたったの10歳。ワシントンD.C.(Washington D.C.)北西部の小学校に通う5年生だ。

 1年前に失職した母親のアベビ・ウルフ(Abebi Wolfe)さん(34)は、「息子は近所の人の手伝いで、時給5ドルでコインを数える仕事をしているの。おこづかいをねだる必要がないからと、誇りに思っているそうよ」と語った。

 前月、別居している父親も職を失ったことを知ったデメトリくんは、小学校のカウンセラーのもとを訪れた。カウンセラーによると、デメトリくんはとても沈んだ面持ちでやってきて、家族を助けるために仕事が欲しいと相談をもちかけてきたという。

 デメトリくんは自宅近くのファストフード大手マクドナルド(McDonald's)の店舗で働こうと思っていた。最高のハンバーガーとフレンチフライを提供する腕には自信があった。

 しかし、カウンセラーはデメトリくんに、まだ10歳のデメトリくんが米国法の最低就労年齢を満たしていないことを伝えた。

■景気と育児の関係

 ワシントン・アメリカ・カトリック大学(Catholic University of America)社会奉仕学科のウェンディ・ブルーム(Wendy Blome)教授は、親が解雇されて家庭のストレスレベルが上がると、低年齢の児童は「自分たちが何らかの責任を負っている」と感じる場合があると説明する。

 教育に関する米研究機関「Rennie Center for Education Research and Policy」の報告書によると、現在のような不況下では高校の卒業が「将来の成功を確かなものにするため」の最低条件であるにもかかわらず、退学する十代の子どもたちがあとを絶たないという。

 また、ブルーム教授は、不況下では、子どもたちが虐待やネグレクト(育児放棄)にさらされる危険性も増大すると述べる。「歴史的に、児童虐待とネグレクトが、失業率と相関する傾向があることがわかっている。一方が上がると、もう一方も上がるのです」(c)AFP/Karin Zeitvogel