【3月18日 AFP】米政府の実質的な管理下で経営再建中の米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(American International GroupAIG)が幹部社員に総額1億6000万ドル(約158億円)以上のボーナスを支払っていた問題で、ティモシー・ガイトナー(Timothy Geithner)財務長官は17日、同社がボーナスを政府に返還しなければ追加支援を行わないとの方針を示した。

 ガイトナー長官は問題が発覚して抗議の嵐が起きた後、ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長に書簡を送り、契約で定められたボーナスの支給を阻止するのは不可能で、支払われたボーナスを取り戻すのは難しい可能性があると述べた。

 同長官によると、司法省は現在、すでに支給されたボーナスの回収に向け実行可能な措置を検討しているという。AIGが前年成立した経済再生計画に違反していた場合は、米政府は同社および従業員とボーナス返還について協議することになるという。

 また、今後支給されるボーナスについては、救済支援を受けている企業が対象となる新法で「厳しい」規制が課されるという。

 さらに、米政府は公的資金1億6500万ドル(約162億円)を取り戻すため、AIGに「契約上の義務」を課すという。ガイトナー長官によると、米政府はAIGに総額1700億ドル(16兆7000億円)以上の公的資金を投入しているが、うち300億ドル(約3兆円)を差し引いて保留にする方針だという。

 米議会では、ロンドン(London)に拠点を置く金融商品を担当していた部署のトレーダーらにその大半が支払われた巨額のボーナスに対し懲罰的課税も検討しているという。この部署のトレーダーらがAIGを経済難に陥らせ、さらには世界的な金融危機が起きるきっかけともなった。(c)AFP