【2月27日 AFP】景気回復のため急ピッチで進められている対策の数々は、長期的には世界の長期的な繁栄に深刻なリスクをもたらしかねないが、経済破たんを避けるためには各国政府が短期的な景気回復に専念するほかない――経済学の修士号を持つカナダのスティーブン・ハーパー(Stephen Harper)首相が26日、記者会見でこのように述べた。

「将来的な問題は将来考えればいい。今は経済が決して下方スパイラルに陥らないようにする、それが最優先課題だ」

 ハーパー首相はインフレや、政府の財政出動が民間投資を圧迫する「クラウディングアウト」の発生を懸念していると指摘。政府の「非効率的かつ膨張した」財政政策が、危機的状況を乗り越えた後も続く危険に警戒感を示した。

「政府と中央銀行が積極的な金利の引き下げを実施し、巨額の追加財政出動を行い、政府借入金が膨らめば、景気回復とともにリスクが生まれる」

「とはいえ、景気回復に取り組む政府、特に米国の政府は、直面する問題の処理を優先するしかない。当面は政府支出を増やし、われわれが消費し、余剰資金を借り入れ、経済活動を活発化させて、世界経済の急落を阻止することが肝要だ」

 ハーパー首相は「今すぐ取り組む必要がある」と述べ、20世紀初頭の英経済学者ジョン・メイナード・ケインズ(John Maynard Keynes)の言葉を引用して「こうした時代には、長期的にはわれわれはみな死んでしまう、という格言を思い出す」と語った。(c)AFP